整体師として患者さんとの信頼関係を築き、施術効果を最大限に引き出すためには、技術だけでなく「問診力」が非常に重要です。
問診技術を磨くことで、患者さんが心を開きやすくなり、効果的な施術が可能になるだけでなく、リピート率の向上や口コミでの紹介にも繋がります。
本記事では、心理学の視点を取り入れながら、問診の際に意識すべき「姿勢」「マインド」、そして「質問技術」についてわかりやすく解説します。
問診は施術全体の質を左右する重要なプロセスです。この記事を参考に、あなたの問診力をさらに高め、患者さんから選ばれる整体師を目指しましょう!
【整体師が獲得したい問診技術】

整体院では、初めて来院される方との問診時に、事前情報がほとんどない状態からスタートします。
そのため、整体師には、利用者様から必要な情報を効果的に引き出し、それを施術につなげるスキルが求められます。その際、重要となるのが「話す技術」です。
このスキルは、利用者様の状況や症状を正確に把握するために欠かせないものであり、適切な質問を投げかけ、相手の答えを引き出すことが目的です。
一方で、信頼関係を構築するための「聴く技術」も同様に重要です。こちらについては、過去の記事で詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
【理学療法士に使える心理学テクニック10選】についての記事は、こちらからどうぞ
【選ばれる理学療法士になるための接客技術】についての記事は、こちらからどうぞ
ここでは、利用者様とのコミュニケーションを円滑に進め、必要な情報を効果的に収集するための「話す技術」について、具体的なポイントや実践的なアプローチを解説していきます。
【返報性の法則】
「返報性の法則」とは、相手から受けた好意や行為に対して、「こちらも何か返さなければ」という心理が働く法則です。
整体の現場においては、施術師が熱意をもって患者さんに接することで、それが信頼という形で返ってくる場面が多々あります。
例えば、施術師自身が「あなたの症状を少しでも良くしたい」という強い思いを抱いて問診に臨むと、その熱意は言葉や態度、さらには質問内容の端々に自然と表れます。
その姿勢を感じ取った患者さんは、「この人なら自分を任せても大丈夫」と信頼し、より深い話をしてくれるようになります。
この信頼関係が築けると、患者さんの真の悩みや症状の背景に気づきやすくなり、施術の質を高めることにも繋がります。
問診を成功させるための最も重要なポイントは、まず施術師自身が熱意をもって患者さんと向き合うことです。
返報性の法則を活用し、患者さんに信頼を寄せてもらえるような姿勢で接することで、問診の質を最大限に高めることができるでしょう。
【アイ・コンタクト】
アイ・コンタクトとは、目と目を合わせて行うコミュニケーションの方法です。
「目は口ほどに物を言う」という言葉が示す通り、施術者の熱意や真剣さを伝えるために、相手の目を見て問診を行うことは非常に効果的です。
また、利用者様の目を見ていると、視線や表情、仕草から感情や心の動きを読み取れるようになります。
米イエール大学が行った認知心理学の実験によると、「嘘をつくときは右脳と左脳の行き来が多くなり視線が定まらない」「自信がない時は認知負荷が高まり、まっすぐ前を向けなくなる」一方で、「やる気が高まりドーパミンが多量に分泌される時は瞳孔が大きくなる」など、視線や目の状態にはその人の心理状態が現れることが明らかにされています。
問診の際は、患者さんの言葉だけでなく、アイ・コンタクトを通じて感情や本音を汲み取りましょう。
それにより、患者さんとの信頼関係がより深まり、より的確な施術につながります。
目を合わせることで、相手の心に寄り添う姿勢を示し、より良い問診を心がけてください。
【バリデーション】
バリデーション(Validation)とは、相手の感情や考えを「正しいかどうか」ではなく、「そのように感じるのは自然なことだ」と受け入れ、認めるコミュニケーション技術です。
この方法を取り入れることで、相手との信頼関係が深まり、安心感を与えることができます。
整体の問診場面では、利用者様が抱える痛みや不安に共感し、その気持ちを言葉にして伝えることが重要です。
例えば、利用者様が「腰痛がひどくて、生活に支障が出ています」と訴えた場合、「その痛みが日常生活に影響しているのは本当に大変ですね」と返すことで、利用者様は「自分を理解してくれている」と感じ、心を開きやすくなります。
このようにバリデーションを活用することで、利用者様はリラックスし、正直に症状を話せるようになります。
また、バリデーションは利用者様の話を否定せず、気持ちに寄り添う姿勢を示すための大切な手段です。「その痛みを抱えながら頑張っているのですね」といった一言が、利用者様に安心感を与え、信頼を築く基盤となります。
施術の効果を高めるためにも、バリデーションを意識して問診を行いましょう。
【オープン クエスション(Open Question)】
オープン クエスション(Open Question)とは、相手が自由に話せるような質問を投げかけるコミュニケーションの方法です。
整体の問診では、利用者様の第一声を引き出すためのオープン クエスションがとても重要です。
第一声には、利用者様が抱える悩みの本質や背景が詰まっており、それを深掘りすることで、相手の満足度を高め、信頼関係を築くことができます。
具体的には、「今日はどうされましたか?」という質問で利用者様に自由に語っていただくことから始めます。
その後、「いつ頃からその症状が気になり始めましたか?」や「どの辺りに違和感を感じますか?」といった質問でさらに詳しく状況を伺います。
また、「どうすると痛みが和らぎますか?」など、具体的な行動や感覚に基づいた質問を追加することで、利用者様の症状を深く理解することが可能です。
オープン クエスションを活用することで、利用者様は「自分のことを丁寧に聞いてくれる」と感じ、心を開きやすくなります。
施術者にとっても、的確な情報を得られるため、施術内容の質が向上します。一問一答で終わらせず、自由な対話を引き出す質問を心がけましょう。
【クローズ クエスション(Close Question)】
クローズ クエスション(Close Question)は、答えが「はい」や「いいえ」、あるいは具体的な選択肢に限定される質問方法です。
整体の問診では、最初にオープン クエスションで大まかな状況を把握した後、クローズ クエスションを活用して問題を絞り込み、症状や原因を明確にしていきます。
例えば、利用者様が「腰が痛い」と訴えた場合、「痛みは常に感じますか?」、「特定の動きをすると痛みますか?」といった質問を行います。
また、「痛む場所は腰の中央ですか?それとも右側、左側ですか?」や「その痛みはズキズキしますか、それとも鈍い痛みですか?」といった具体的なクエスションを続けることで、利用者様の症状や状態を詳細に把握できます。
クローズ クエスションは、話を具体化し、施術の方針を決めるための重要な手段です。このプロセスを通じて利用者様と情報を共有し、双方が問題点を明確に理解することがゴールとなります。
明確な情報を共有することで、利用者様に「自分の症状をしっかり理解してくれている」という安心感を与え、信頼関係を深めることにも繋がります。
クローズ クエスションを効果的に使い、具体的で的確な施術プランを提案することで、より高い満足度を提供しましょう。
【まとめ】
問診において重要な心理学的テクニックをまとめると、まずは熱意を持って利用者様と向き合うことが大切です。
目を見て話すことで信頼を深め、相手の感情に寄り添う姿勢を示しましょう。
質問は、最初にオープン クエスションを用いて利用者様の悩みを幅広く引き出し、その後、クローズ クエスションで具体的な問題点を絞り込んでいきます。
このプロセスを経て、最終的に利用者様と問題点を共有することがゴールとなります。
問診の質は、施術全体のクオリティに直結します。丁寧で的確な問診を行うことで、利用者様の満足度が向上し、信頼関係も深まります。
問診を制することが、整体サービス全体をより良いものにするための鍵です。ぜひ、これらのテクニックを活用し、質の高い施術を目指してください。
【副業整体で使う問診表の作り方】についての記事は、こちらからどうぞ
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