【副業整体で使う問診表の作り方】テンプレートも合わせて紹介

②開業準備

副業として整体を始めたい方、または現在に取り組んでいる方へ。本記事では、副業整体で使う「問診表」の作り方を解説します。

副業整体では、一般的な整体院と異なり、少人数の利用者様との信頼関係を築くことが重要です。そのため、問診表も利用者様に寄り添った内容にする必要があります。

この記事では、信頼構築を意識した問診表の作成方法と、すぐに使えるテンプレートを合わせてご紹介します。ぜひ参考にして、より良い整体サービスを提供してください!

【副業整体で使う問診の目的と役割】

通常の整体院では、多くの利用者様を対象にしたマーケティングが重視され、問診表にも「どこで当院を知ったのか?」「当院を選んだ理由は?」といった、来院動機や広告効果を測るための質問項目が含まれることが一般的です。

しかし、副業として整体を行う場合、こうしたマーケティング目的の要素はあまり必要ありません。その理由は、副業整体の特性にあります。

副業整体では、限られた時間の中で少人数の利用者様と深く関わることが求められます。そのため、問診表は信頼関係を築くための大切なツールとして活用することが重要です。

一人ひとりの利用者様に寄り添い、具体的な悩みや不安をしっかりと把握することが最優先となります。

問診表の設問には、利用者の心情や背景に寄り添った内容を盛り込みましょう。これにより、利用者様一人ひとりの状況に合わせた施術プランを提案しやすくなります。

こうした細やかな対応が、利用者様の満足度を高め、リピートにつながる信頼関係の構築に繋がります。

【一般的な整体院の問診表】→マーケティング要素重視

【副業整体院の問診表】→信頼関係・満足度重視

【副業整体の問診表の具体的な内容】

副業整体に使用する問診表で最も重要なポイントは、「施術に必要な情報のみに限定して聴取すること」です。

利用者に過剰な負担や不信感を与えないためにも、質問項目はシンプルかつ目的に合致したものにしましょう。

以下は、問診表に盛り込むべき具体的な内容です。

【最低限の個人情報】

副業整体の問診表では、「最低限の個人情報」を聴取することが重要です。具体的には「名前」「性別」「年齢」「住所」「電話番号」などが挙げられます。

まず、利用者の名前を間違えることは信頼関係を損ねる原因となるため、フリガナも記入してもらうと安心です。

性別や年齢の情報は、不調の原因を推測する際の大きな手がかりになります。

例えば、50代の方が肩の痛みを訴えた場合、肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)の可能性を考慮することができます。

また、性別に基づく傾向も、施術内容の検討に役立つ場合があります。

さらに、利用者に何かトラブルや緊急事態が起きた際に連絡を取れるよう、「住所」や「電話番号」の記入も求めましょう。

ただし、これらの情報は必要最低限にとどめ、利用者に安心して記入してもらえるよう配慮することが大切です。

こうした基本情報を丁寧に管理することで、信頼できる施術環境を提供する一歩となります。

【不調に関する身体情報】

身体の不調については、できるだけ詳しく聴取することが大切です。

この情報は施術の効果を高めるために非常に重要な要素となります。

不調の具体的な内容として、「いつから症状が出ているのか」「どの部位に違和感や痛みがあるのか」「どのような動作や状況で症状が出現するのか」を詳細に確認しましょう。

これにより、不調の原因や改善方法をより的確に導き出すことができます。

さらに、利用者の抱える不調は一つではなく、複数にわたる場合が多いです。

そのため、利用者にとって最も気になる悩みや、日常生活に支障を与えている症状を優先順位をつけて尋ねることが重要です。

例えば、「最初に改善したい症状」「特に困っている状況」などをヒアリングすることで、利用者のニーズに合った施術を提供することができます。

また、不調が日常生活や趣味にどのような影響を与えているのかを聞き出すことで、施術のゴールを共有しやすくなり、利用者の満足度向上にもつながります。

【不調に関連しそうな仕事内容・生活習慣・趣味活動】

不調の原因を特定するためには、利用者の仕事内容や生活習慣、趣味活動についても詳しく問診を行うことが重要です。

多くの場合、身体の不調はこれらのいずれか、または複数の要因が関与しています。

たとえば、長時間のデスクワークによる姿勢の乱れや、日常的な運動不足、あるいは過度な運動が負担をかけているケースなどが挙げられます。

さらに、施術によって一時的に身体機能を改善できたとしても、不調の原因となる生活スタイルを変えなければ、症状は繰り返される可能性があります。

そのため、利用者の生活全般を把握することで、不調の根本原因にアプローチすることが可能になります。

具体的には、「仕事内容の中で特に身体に負担がかかる動作」「普段の座り方や立ち方」「趣味活動での体の使い方」などを尋ねることで、利用者に適したアドバイスや生活改善の提案ができるようになります。

身体情報に加えて、生活スタイルも問診でしっかりと把握し、利用者の長期的な健康改善をサポートしましょう。

【既往歴全般】

利用者の既往歴全般を詳しく聴取することは、不調の原因を特定する上で欠かせません。

現在の不調の根本原因が、過去の怪我や疾患に起因している可能性があるからです。

例えば、腰痛を訴える利用者であっても、実は以前から膝の痛みがあった場合、腰痛の原因が膝の問題に関連していることが考えられます。

このようなケースでは、膝の状態も評価し、適切な施術を行う必要があります。

身体は全身がつながり、連動して動いています。

そのため、どこかの部位に問題が生じると、他の部位に影響を及ぼし、不調が連鎖的に広がることがあります。

この「つながり」を理解し、施術に反映するためにも、既往歴の把握は非常に重要です。

問診では、過去の怪我や手術、慢性的な疾患、医療機関での治療歴などを具体的に尋ねましょう。

これにより、利用者の身体の全体像を把握し、不調の根本原因を明らかにするための重要な手がかりを得ることができます。

正確な既往歴の聴取は、適切な施術計画を立てる第一歩です。

【不調による病院への受診歴】

利用者が抱える不調について、病院への受診歴を確認しておくことは非常に重要です。

特に、レントゲン、CT、エコーなどの「体の中を見る検査」を受けたかどうかを詳細に聴取しましょう。

これらの検査結果は、不調の原因を特定するための大きな手がかりとなります。

整体院を訪れる利用者の多くが「痛み」を訴えていますが、その痛みの原因が「骨折」「ヒビ」「脱臼」「神経根の圧迫」「神経の損傷」「筋断裂」などの重大な病態である場合、整体の施術よりも病院での治療が優先されるべきです。

そのため、既に病院で診断や治療を受けているか、またその結果がどうだったのかを把握することが必要です。

一方で、病院では原因が特定できなかった痛みや、手術後も改善しなかった痛みに対しては、整体が力を発揮する場面も多くあります。

全身のバランスを調整し、不調の根本原因にアプローチすることで、利用者の改善を目指します。

病院での受診歴を正確に把握することで、適切な施術計画を立て、利用者の満足度を高める施術を提供できるようになります。

【不調があってできなくなったこと・できるようになりたいこと】

問診の最終項目として、不調によって「できなくなったこと」や「できるようになりたいこと」を確認することは、施術の方向性を明確にするために非常に重要です。

これまでの問診内容を基に、「○○の不調で△△ができなくなってしまったことは辛いですよね」と利用者の心情に共感しましょう。

この一言が、利用者との信頼関係を深める大きな鍵となります。

次に、「△△がまたできるように、○○を改善していきましょう」と、問題点とゴールを共有します。

これにより、利用者は自分の悩みをきちんと理解してもらえたと感じ、安心感を得られます。

また、具体的な目標が明確になることで、施術への期待感が高まり、信頼を持って取り組んでいただけるようになります。

さらに、このステップは利用者のモチベーションを高める効果もあります。不調の改善を通じて、日常生活や趣味を再び楽しめるようになるというポジティブなビジョンを共有することで、施術の効果をより引き出しやすくなります。

このように、利用者の目線に立った問診を行うことは、施術の成功に直結する重要なプロセスです。

【最低限のリスク管理】

施術を安全に行うためには、リスク管理が欠かせません。

例えば、妊娠している、または妊娠の可能性について事前に聴取しておくことで、特定の施術が適切かどうか判断でき、万が一のリスクに備えることができます。

また、利用者様のプライバシーを守ることも信頼関係を築く上で重要です。

問診表の最後に「※ご記入いただいた内容は施術に必要な範囲で使用し、施術目的以外には使用いたしません」と明記しておくことで、利用者様に安心感を与えることができます。

これらの工夫により、安全性を高めるとともに、利用者様との信頼を深めることができるでしょう。

【当院で使用している問診表のテンプレート】

こちらが当院で使用している問診表のテンプレートです。施術に必要な情報だけを厳選し、利用者様にとって負担が少なくなるよう、A4用紙1枚(表面のみ)に簡潔にまとめています。

黒枠は利用者様にご記入いただき、下記の内容は施術者が問診し聴取していくスタイルとなっています。ぜひご参照いただき、参考にしてください。

副業整体の問診表テンプレートは、こちらからどうぞ

【副業整体での問診表のNG内容】

副業整体の問診表では、マーケティング目的の質問や、必要以上の個人情報を聞く項目が多いと、利用者様の信頼を損ね、満足度を下げることがあります。

問診表は利用者の不調や希望を把握するためのものです。記入内容が適切か、量が多すぎないかを見直し、安心して記入できる工夫をしましょう。

ここでは、具体的に副業整体で使われる問診表のNG内容を紹介していきます。

【設問項目が多い】

問診表に設問が多すぎると、利用者様に大きな負担を与えてしまいます。特に副業整体では、利用者様一人ひとりと密に関わることが重要です。

そのため、限られた時間内で信頼関係を築くことが求められます。

問診表が長すぎると、利用者様が記入に疲れたり、焦りを感じたりして、正確な情報が得られない可能性もあります。

必要な情報を厳選し、簡潔で分かりやすい問診表を用意することで、利用者様の満足感を高めることができます。

【文字が小さい】

問診表の文字が小さいと、高齢の利用者様や視力が低い方にとって記入が難しくなり、不便を感じさせてしまいます。

利用者様に負担をかけず、スムーズに記入してもらうためには、読みやすいフォントサイズを使用することが大切です。

文字が見づらいと、利用者様が誤解して回答してしまったり、正確な情報を得られなくなったりするリスクもあります。

利用者様全員が安心して利用できるよう、文字の大きさやデザインにも配慮しましょう。

【マーケティング要素が強い設問が多い】

SNSの利用頻度や「どこで当院を知りましたか?」、「当院を選んだ理由は?」などの質問が多いと、利用者様に「商業的な目的が強い」と感じさせてしまうことがあります。

副業整体では、利用者様の満足度や信頼感を高めることが最優先です。

そのため、問診表にはマーケティング目的の質問を減らし、利用者様の不調や希望に焦点を当てた設問を取り入れましょう。

こうした配慮が、利用者様との信頼構築につながります。

【施術に関係のない設問が多い】

年収や家族構成など、施術に関係のない質問を問診表に含めると、利用者様に過剰な負担や不信感を与えることがあります。

こうした情報は施術に直接影響を与えないため、問診表には不要です。

もし必要であれば、施術中の雑談など、自然な会話の中で聞くようにしましょう。

問診表は、利用者様が安心して記入できる内容に留めることが大切です。

【心理的プレッシャーを与える設問が多い】

「どれくらいの頻度で通えるか?」や「施術を受ける意欲はどれくらいあるか?」といった質問は、利用者様にプレッシャーを与える可能性があります。

こうした内容は、問診表ではなく、施術後に利用者様と信頼関係を築きながら共有するべきです。

問診表はあくまで施術の基礎情報を得るためのものと位置づけ、利用者様がリラックスして記入できるよう配慮しましょう。

【他院でのトラブルや失敗談の設問】

「以前の施術で改善しなかった理由」や「他院に通わなくなった理由」などの質問は、利用者様にとって不快な記憶を呼び起こす可能性があります。

これらの質問は施術に必要な情報ではなく、むしろ信頼関係を損ねるリスクがあります。

他の施設で治らなかった体験については、利用者様から自然に話が出た場合に共感する程度で十分です。

利用者様が前向きな気持ちで施術に臨めるような配慮が求められます。

【まとめ】

整体業では、利用者様との最初の共同作業として問診表の作成と活用が重要です。

問診表の内容や、施術者の対応次第で、利用者様が受ける第一印象が大きく左右されます。

ここで信頼感や満足感を得られると、施術がスムーズに進み、次回の来院予約も取りやすくなります。

特に副業整体では、多くの利用者様と短期間で関わるのではなく、少人数と密な関係を築くことが求められます。

そのため、問診表は利用者様の不調や希望を深く理解できる内容に作り込み、問診では利用者様に寄り添う姿勢を示すことが大切です。

問診の質は整体院の印象を左右する重要なポイントです。この内容が、副業で整体業を始める方の参考になれば幸いです。