「健康のために運動を始めた利用者さんが、かえって腰を痛めてしまった…」「筋トレを続けているけど、疲れが取れず調子を崩している」といった声を聞いたことはありませんか?
テレビやネットでは「ウォーキングが良い」「ジョギングが効果的」「筋トレがアンチエイジングに効く」といった情報があふれ、利用者自身が自己流で運動を始めることも増えてきました。
しかし、その運動は本当にその人の体に合っているのでしょうか?
理学療法士として10年以上の臨床経験を持ち、現在は整体師として活動している私の視点から見て、「自己流の運動がかえって身体のトラブルを招いている」というケースは非常に多いと感じています。
今回は、整体師として「その人に合った運動とは何か」「その前に整えるべきことは何か」について、セルフケア指導と施術の両面からお伝えします。
【そのセルフケア、本当に体に合っていますか?】

ウォーキングやジョギング、筋トレなどは、一般的に健康維持に効果的な運動として知られています。
しかし、それが「すべての人にとって良い運動」であるとは限りません。
たとえば、膝に痛みがある方がジョギングを行えば、関節に過剰な負担がかかり、かえって症状を悪化させてしまう恐れがあります。
また、反り腰のある方が腹筋運動をすると、腰を痛めてしまうリスクが高まります。
このような状態で「とりあえず運動をしましょう」とアドバイスしてしまうと、かえって逆効果になりかねません。
せっかく健康を意識して努力しているのに、ケガをしてしまっては本末転倒ですよね。
さらに、自己流のストレッチや筋トレでは思うような効果が出ず、「痩せない」「筋肉がつかない」「疲れが抜けない」などの悩みに繋がるケースも多く見られます。
その原因の多くは、体のバランスの乱れや、フォームの誤りにあります。
私自身、現場で数多くの利用者様と向き合う中で、「間違った運動が原因で症状が悪化してしまった」という例を、数えきれないほど見てきました。
だからこそ、整体師としてまず大切なのは、「利用者様の身体をしっかりと理解すること」です。
そのうえで、状態に合った適切なセルフケアや運動を提案することが、ケガや不調を防ぎ、健康な体づくりへとつながっていくのです。
【まず体を整えてから、適した運動へ導こう】

ゆがみや筋肉のアンバランスがあるまま運動を行っても、期待した効果は得られません。
たとえば、骨盤が前傾している人は大腿四頭筋が過緊張しやすく、股関節の可動域が狭まります。
この状態でスクワットをすれば、膝や股関節を痛めるリスクが高くなります。
また、肩甲骨の動きが悪い状態で腕立て伏せをさせれば、肩関節の負荷が強くなり、痛みの原因となることもあります。
整体の施術を通じて筋緊張をゆるめ、関節の可動域を広げ、体のバランスを整えることが、運動効果を高めるための土台づくりになります。
「鍛える前に整える」これは、整体師だからこそできるアプローチです。
適切なアライメントにリセットされた状態で運動を始めれば、フォームも安定し、筋肉への負担も最適化されます。
こうして初めて、ケガのリスクを抑えながら、効率的に成果を出せるのです。
【理学療法士×整体師の視点を活かした運動支援】

私は理学療法士として10年以上、医療現場でケガや疾患によって動けなくなった方々のサポートをしてきました。
その中で強く感じたのは、「もっと早くアプローチできていれば、予防できたはず」という後悔の多さです。
多くの人が「痛くなってから」「動けなくなってから」相談に来ます。
しかし、それでは遅いのです。
整体師として活動する今、私は利用者様に対して「予防」という視点を積極的に発信しています。
✅自分の体を知る
✅整える
✅正しく動かす
この一連のプロセスこそが、真の意味での健康づくりです。
「今の運動が合っているのか不安」「フォームが正しいか分からない」
そんな不安を抱えている利用者様に対し、整体師として的確なフィードバックを提供することが、私たちの使命です。
【整体×セルフケアでケガや病気を防ぐ!】

運動だけでは、健康を維持し続けることはできません。
そして、整体の施術だけでも万全とは言えません。
この2つを組み合わせてこそ、「本当にケガや病気を防げる体づくり」が可能になります。
整体で体を整える → 個々に合った運動を取り入れる → 正しいセルフケアを習慣化する → 不調を未然に防ぐ
このようなサイクルを、利用者様と一緒に継続して回していくことで、年齢による体の変化にも自信を持って向き合うことができるのです。
さらに、定期的なメンテナンスを通じて体の小さな変化に早く気づくことができ、運動やセルフケアの効果をより一層引き出すことが可能になります。
私自身の施術経験の中でも、「少しアプローチを変えただけで、結果が大きく変わった」というケースは数多く見てきました。
整体とセルフケアの両輪で、一人ひとりの健康な未来をサポートしていきましょう。
【まとめ】
健康のための運動が、逆に体を壊してしまっては意味がありません。
大切なのは、「その人に合った方法」で「正しい順序」で体を整えていくことです。
整体で身体のバランスを整え、その人の特性を把握した上で、適切な運動指導やセルフケアを提供する。
それが、整体師として利用者の健康を守るための一番の役割だと私は考えています。
人生100年時代。
「自分の足で立ち、歩き続けられる体づくり」を支える存在として、整体師の力がますます求められています。
あなたの技術と知識で、利用者の未来を変えていきましょう。