本記事では、理学療法士として5~8年目を迎える頃、なぜ多くの人がキャリアについて悩み、転機を迎えるのか?
そして、実際にどうキャリアプランニングを考えていけばよいのかを、山崎元氏の「典型的キャリア論」も交えながら、深掘りしていきます。
一度立ち止まって、今後の身の振り方を考えるきっかけにして頂けたら幸いです。
【理学療法士の5~8年目は「慣れ」と「迷い」が交差する時期】

社会人になりたての頃は、右も左も分からない中で、フレッシュな気持ちと若いエネルギーを武器に、がむしゃらに頑張る時期ですよね。
自分の知識や経験がまだまだ足りないことを実感しながら、勉強会に積極的に参加したり、休日を使って自己研鑽に励んだり、臨床以外のことにも興味を広げてみたり。
そんな熱意にあふれた毎日を送っていた人も多いはずです。
しかし、5年、6年、7年…と経験を積むうちに、職場の中での自分のキャラクターが確立し、臨床業務や書類作成などもスムーズにこなせるようになります。
そうすると、かつての「新鮮さ」は少しずつ落ち着き、ふとしたときに「このままでいいのか?」「成長できているのか?」という疑問が顔を出します。
これは決してネガティブなことではなく、理学療法士として次のステップに進む準備が整い始めた「兆し」ともいえるでしょう。
【28歳前後がキャリアの「分岐点」となる理由】

経験値はある。
でも、未来が見えない。
それが、中堅期に差し掛かった理学療法士のリアルな心情です。
5年目以降になると、新人指導を任されたり、チーム内で役割を担ったりと、仕事の幅は広がっているはずです。
責任ある仕事はやりがいにもつながりますが、一方で「これ以上、何を学べばいいのか?」「自分はこのまま成長できるのか?」という壁にぶつかる時期でもあります。
この頃になると、「職場の全体像が見えてくる」と感じる人も増えてきます。
人間関係、評価制度、病院の経営方針、組織の限界…。
かつてはただ純粋に患者さんと向き合えていた気持ちが、現実と擦れ合うなかで、少しずつ迷いや不満へと変わっていくのです。
私自身も、5年目で転職を経験しました。
そのとき強く感じたのは、「このまま今の職場にいても、数年後の自分が簡単に想像できてしまう」という、ある種の物足りなさでした。
もちろん、安心感や安定はありました。
でも、それ以上に「変わらなければ成長できない」という思いが、転職への一歩を後押ししたのです。
私の周りでも5〜8年目の後輩たちが、整体院への転職、市役所職員への転身、一般企業への就職など、それぞれの道を模索し、実際に行動を起こしています。
【山崎元氏の「典型的キャリア論」から学ぶ視点】

経済評論家・山崎元氏は、著書やインタビューの中で「典型的なキャリアプランニング」を次のように述べています。
「20代はとにかく自分の市場価値を高めることに集中するべき。専門性や経験を蓄え、30代以降でそれをどう活かすかを考える。」
この言葉は、理学療法士にとっても非常に示唆に富んでいます。
20代前半から半ばで臨床力やコミュニケーション力などの“武器”を磨き、20代後半から30代で「どこで、どう活かすか?」を意識するようになります。
まさに、5~8年目(=28歳前後)は、キャリアを「戦略的にデザインする」ためのタイミングなのです。
山崎氏はまた、「会社に依存しない、自分軸のキャリア」を重視しています。
理学療法士も「病院に勤めていれば安心」という時代ではありません。
地域包括ケア、訪問看護、フリーランス、教育・講師業など、道は多様化しています。
この時期に「自分にとって何が大切か」「将来どんな理学療法士でいたいか」といった問いに向き合い、自分軸を持つことが、今後の選択を大きく左右するのです。
【28歳がやっておきたいキャリアアクション3選】

ここからは、実際にキャリアの分岐点に立つ理学療法士が「今のうちにやっておきたいこと」を3つ紹介します。
将来の選択肢を広げるために、どれも小さな一歩から始められるものばかりです。
【キャリアの棚卸しをする】
まず取り組みたいのは、自分のこれまでの経験を振り返ることです。
どんな症例を多く経験してきたか、どんな場面でやりがいを感じたか、他人から評価されたことは何か。
紙に書き出してみると、自分の「強み」や「興味のある分野」が意外とはっきり見えてきます。
それは今後のキャリアを考えるうえで、大きなヒントになります。
【外の世界を見てみる】
いまの職場がすべてではありません。
転職をしなくても、他の施設の見学やセミナーへの参加、SNSでの情報収集などを通して「外の世界」に触れてみましょう。
他の職場の工夫や働き方を知ることで、「自分にもこんな選択肢があるんだ」と視野が広がります。
今はまだ動くつもりがなくても、未来の可能性を広げる種まきになります。
【理想のライフスタイルを描く】
「仕事だけでなく、人生全体をどう生きたいか?」という視点も忘れずに持ちましょう。
「家族との時間を増やしたい」「独立して自分の院を持ちたい」「好きな場所で自由に働きたい」など、理想の暮らしを思い描くことで、キャリアの選び方も変わってきます。
ライフスタイルから逆算してキャリアを設計することで、自分らしい働き方が見えてくるはずです。
【まとめ|転機は「迷い」から始まる】
理学療法士として5~8年目を迎える頃は、臨床経験にも自信がつき、職場の中堅として安定感も増してくる時期です。
しかし同時に、「このままでいいのか?」という迷いや不安が芽生えやすいタイミングでもあります。
この「揺らぎ」をネガティブに捉えるのではなく、次のステップに進むサインとして前向きに受け止めましょう。
山崎元氏の言う「市場価値を高め、自分軸を持ったキャリア設計」は、まさにこの時期に取り組むべきテーマです。
28歳前後の今こそ、キャリアに真剣に向き合う絶好のタイミングです。
自分にしか描けないキャリアを、焦らず丁寧に、でも確実に歩み始めてみませんか?
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