【理学療法士に待ち受ける二極化】将来性と生き残り戦略を真剣に考える時代へ

①下準備
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理学療法士の将来に、不安を抱いている人は少なくないのではないでしょうか?

現在、日本では少子高齢化が進み、今後、団塊の世代が医療の最前線から離れていきます。

同時に人口減少にも歯止めが効かず、これまで医療や介護の中心的役割を担ってきた理学療法士の「需要」は、減少傾向に向かうと予測されています。

実際、年間約1万人もの新卒PT(理学療法士)が誕生しており、このままであれば、今後ますます供給過多の状態になっていきます。

こうした環境の中で、理学療法士の価値は相対的に下がり、診療報酬の引き下げも重なって、いわば「理学療法士は安く買いたたかれる職業」へと変化していく可能性が高いのです。

しかし、すべてのPTがこの波に飲み込まれるわけではありません。

今後は「制度に依存して低賃金で働くPT」と、「制度の枠を超えて実力主義で高収入を得るPT」という二極化がさらに加速していくと予想されます。

【理学療法士の将来性を真剣に考える】

理学療法士(PT)の平均年収は、令和5年の調査によるとおよそ430万円前後です。

これは他の専門職と比較しても決して高い水準とは言えません。

さらに、診療報酬の見直しや制度の制限が年々進む中で、今後はさらなる報酬の低下も現実的に予想されています。

この背景には、制度そのものの限界が存在しています。

日本は急速に高齢化が進み、それに伴って医療・介護費の総額も年々膨張していきます。

これを抑制するため、国は費用削減の方針を打ち出し、療法士1人あたりに支払われる報酬単価を徐々に引き下げる方向にシフトしています。

つまり、どれだけ真面目に、誠実に現場で働いたとしても、理学療法士という「制度に依存した職業」である限り、大幅な賃金の上昇は見込めない構造になっているのです。

さらに深刻なのは、毎年1万人以上の新卒PTが生まれているという「供給過多」の現状です。

経済学的な視点から見ると、モノでも人でも「供給が増えれば価格(=賃金)は下がる」のが基本の原理。

理学療法士も例外ではなく、過剰な人数によってその価値は「希少性」ではなく「数」によって薄まっていきます。

こうした現実を見据えると、「これからの理学療法士は、制度に頼らず、自ら価値を創り出す力が必要になる」という結論に行き着きます。

【理学療法士に待ち受ける二極化】

制度の限界や供給過多の現状を背景に、理学療法士の働き方は徐々に「二極化」の様相を強めています。

ひとつは、制度内で守られながら働く理学療法士です。

医療保険や介護保険の枠組みに沿い、病院や施設で決められた時間・ルールの中で利用者に対応します。

安定した勤務体系や福利厚生が魅力ではありますが、収入は制度に縛られるため頭打ちになりやすく、努力や成果に対する評価も横並びになりがちです。

もうひとつは、制度の外で自費サービスに挑戦する理学療法士です。

整体院の開業、パーソナルトレーニング指導、訪問自費リハなど、保険外のフィールドで「実力主義」の世界に身を置くタイプです。

中には、独自のブランドを確立し、年収1000万円以上を稼ぐセラピストも出てきています。

この構図はもはや一部の例外ではなく、現実のものとなりつつあります。

SNSやYouTube、ブログを通じて情報発信を行い、集客や教育活動まで自ら手がける理学療法士が増加しています。

いまや理学療法士は「資格を待っているだけ」の時代ではなく、自ら価値を届けにいく力が求められる時代へと突入しているのです。

【理学療法士のオワコン論は正しい? 】

「理学療法士はオワコン」といった言葉を耳にすることも増えました。

正直なところ、この指摘は一部においては的を射ていると言わざるを得ません。

今後、病院や施設だけに依存していれば、収入は下がり、働き方の自由度も低く、若いうちに燃え尽きてしまうリスクすらあるでしょう。

しかし一方で、抜け出す方法は確実にあります。

それは、「制度の外で勝負できる力をつけること」です。

臨床スキルはもちろん、マーケティングやブランディング、集客・SNS発信、Webの知識など、多様なスキルを身につけることが、今後の理学療法士のキャリアを豊かにするカギになります。

いわば、「理学療法士×〇〇」の時代です。

理学療法士×フィットネス、×教育、×フリーランス、×ビジネス…こうした多様な掛け算ができる人材が、次のステージに進めるのです。

【理学療法士が今から始めたい「脱・二極化」3ステップ】

理学療法士の世界では、制度に依存し安定を求める働き方と、制度の外で自由に挑戦する働き方の「二極化」が進んでいます。

しかし、「どちらか一方しか選べない」というわけではありません。

大切なのは、自分の可能性を広げる選択肢を持ち、少しずつ「制度に縛られない力」を育てていくことです。

ここでは、これからの時代をしなやかに生き抜くために、理学療法士が今すぐ始めたい「脱・二極化」への3ステップをご紹介します。

【情報発信を始める】

まずは、小さくても良いので「発信すること」を習慣にしてみましょう。

ブログ、Instagram、YouTube、X(旧Twitter)など、どんなツールでも構いません。

日々の学びや臨床の気づき、自分の考えを言語化して発信することで、「自分がどんな理学療法士なのか」という個性が明確になります。

それは、将来的に自費活動を始める際の「信頼の土台」となり、集客にもつながる大きな一歩になります。

【スキルを「掛け算」で磨く】

今の時代、リハビリ技術だけで勝負するのは正直難しいかもしれません。

そこで、+αの知識やスキルを身につけることがカギになります。

たとえば、トレーニング指導、栄養学、心理学、コミュニケーション、Web制作、マーケティングなど。

これらを自分の専門性に掛け合わせることで、「自分にしかできない領域」を築くことができます。

他のセラピストと差別化し、価値の高い存在になるためには、この「掛け算の発想」が不可欠です。

【自費ビジネスの情報を集める】

最後に、自費分野の現場にできるだけ触れてみましょう。

すでに自費開業している人の講座やセミナーに参加したり、整体院や訪問リハの現場を見学するのも効果的です。

ネットの情報だけではわからない「リアルな雰囲気」や「お金の流れ」「失敗談」などを体感することで、固定観念が壊れ、新たな視点が得られます。

勇気を出して一歩踏み出すことで、未来の選択肢は確実に広がっていきます。

【まとめ|二極化する時代を生き抜くために】

理学療法士という仕事は、今まさに大きな転換期を迎えています。

これまでは「資格があれば安定して働ける」という安心感がありましたが、もはやその常識は通用しなくなりつつあります。

これから必要なのは、「自ら価値を生み出す力」と「制度に依存しないキャリア設計力」です。

誰かに守られることを選ぶのか、それとも自分の力で未来を切り拓くのか。

その選択は、他の誰でもなく、自分自身に委ねられています。

一つ確かなのは、行動する人、情報を集める人にだけ、新しいチャンスが訪れるということです。

理学療法士は決して「オワコン」ではありません。

むしろ今だからこそ、理想の働き方を自分で創れる絶好のタイミングです。

あなたは、どんな未来を描きますか?